立ち退き(拆:チャイ)問題
2008年のオリンピックに向けて急速に都市開発が進んでいる北京では今いたる所で取り壊しが行なわれ、そして昔からある伝統的な家々や胡同(横丁)といった物が次々と失われていっています。その為これら取り壊し、立ち退き問題はすでに社会問題として取り上げられる程。勝手に家をこわされ、立退き料はもらえてもわずかだったり、新しく与えられたアパートは郊外の遠い所だったりと問題は様々。

うちの会社は郊外の為、立ち退きで30万元(390万円位)もらえて喜んでいる社員もいますが、市内に住んでいる人たちにとっては立ち退きは納得できない問題だと思います。

これは北京市のやや南側”東花市”という場所の様子です。3年前この辺に住んでいたのでよく知ってる所だったはずですが、昔の暖かい街並みは無残な姿となっていました。すでに瓦礫の山と化したかつての胡同跡にはそこら中にこの右のような”拆”という文字がペンキで→
書かれています。これは”取り壊す”という意味で、今北京市内では、あちこちにこの”チャイ”の字をみかけるようになってしまいました。
←胡同跡に、ひっそりと残されていた民家。
非常に古く保存状態のよい民家のため、恐らくこのまま保存されるのではないでしょうか。この東花市に関しては、ところどころ保存できるものは残していくらしいということを聞きました。

こちらは、この門の内側。天井に近いところに木造の乳母車が掲げられていました。     →
←これらも残される運命なのか壊される運命なのかわかりません。

四合院という伝統的な家屋では、入り口にこのような石造りの置物
”門敦:メンドゥン”があって、この造りの装飾の精密さや、複雑さなどで家々の位、身分をあらわしていたそうです。
この胡同にはこういう門構えの家々がたくさん並んでいたものでした・・。
新しく綺麗にするだけが都市開発ではないように思いますし、このままでは何より歴史を消し去ってしまう事に繋がってしまいます。失って初めて気づくのではあまりにもったいなく、そしてあまりに情けない・・。

社会問題としての立場からこの取り壊し、立ち退き(拆:チャイ)問題を、日本でも研究してるグループがあります。日本に住んでいながら中国のこういった社会問題に真正面から取り組む彼らのHP、一度ご覧になってみてください。 
              チャイ研HP
http://members.at.infoseek.co.jp/chaichaiken/index.htm
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